「ざっくり分かるファイナンス」

ざっくり分かるファイナンス,  光文社新書, 石野雄一

 

 

【内容紹介(表紙裏より)】 

ポスト会計時代の基本知識はコレだ!

■ファイナンスの目的は企業価値の最大化

■リスクの本質は「将来の不確実性」

■経営者にとっては、株主資本コストの方が負債コストよりも負担が大きい

■投資家のリスク認識を下げるには、適切な情報を適切なタイミングでディスクローズ(公開)する

■負債の節税効果を考慮に入れる

 

【印象的な表現や文章】 

 「・・・ファイナンスとは、ひと言でいうと、『企業価値の最大化』をはかるための意思決定に役立つツール(道具)。その意思決定には、投資、資金調達、配当の三つがあります。いずれも企業の将来を見据えたうえで行われるものです。」(P.6)

 

「会計は『利益』を扱い、ファイナンスは『キャッシュ』を扱うということです。」(P.14)

 

「要するにファイナンスとは、投資に関する意思決定(投資の決定)と、その投資に必要な資金調達に関する意思決定(資金の調達)と、そして運用して得たお金をどう配分するかとう意思決定(配当政策)、これら三つの意思決定に関わるもの、ということです。」(P.66)

 

「私たち実務レベルの人間は、リスクとどのように向き合えばいいのかを考えるべきです。それは結局『リスクを避けることではなく、実際にリスクに見合ったリターンを上げているのか』を考えることです。」(P.74)

 

「債権者が要求するリターンである『負債コスト』に対し、株主が要求するリターンを『株主資本コスト』といいます。」(P.84)

 

「プロジェクトのリスク管理という点では、日本企業の中で、商社が進んでいると思います。というのも、商社はそれこそ、『ラーメンからミサイルまで』といわれるほど、取り扱う商品・事業が多岐にわたっており、これらリスクの全く異なる事業に投資しているといえるからです。」(P.191)

 

「投資家には安定志向(債権者)と成長志向(株主)の二つのタイプがあり、銀行はいうまでもなく全社に属します。つまり、ハイパーネットはそんな銀行から借入などしてはいけなかった、言い換えれば『リスクを嫌うお金』を入れてはいけなかったわけです。」(P.214)

 

「『格付けを上げれば企業価値が上がり、ひいては株価が上がる』と考えるのは間違いであることがお分かりいただけましたでしょうか。」(P.216)

 

「つまり、急激に伸びてきた会社が、配当や自社株取得をはじめると、そう取られる可能性が出てくるわけです。そのためにも、株主への資金還元については、企業のライフサイクルのステージに応じて行う必要があります。」(P.226)