「すべて真夜中の恋人たち」, 川上未映子

 

「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信をもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった---。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。

  

【印象的な表現や文章】 

「人に相談したところで。解決した人生相談なんてあなたみたことある? 言葉にしちゃったせいで自分の中で問題がひとつ増えるかよけいに複雑になるか、そんなのどっちかしかないじゃない。」(P.208)

 

「わたしは自分の意志で何かを選んで、それを実現させたことがあっただろうか。何もなかった。だからわたしはいまこうして、ひとりで、ここにいあるのだ。」(P.291)