「アドラー心理学入門」

「アドラー心理学入門」ベスト新書, 岸見一郎

 

 

【内容紹介(表紙裏より)】 

アドラー心理学の本格的な入門の書! ①アドラーはどんな人だったか ②アドラー心理学の幼児と教育 ③横の関係と健康なパーソナリティ ④アドラー心理学の基礎理論 ⑤人生の意味を求めて

 

【印象的な表現や文章】 

「アドラーが自分の創始した心理学の体系を『個人心理学』と呼んだのは、最初に見たように、人間を分割できない全体ととらえ、人間は統一されたものである、と考えるからです。そこでアドラーは、たとえば、人間を精神と身体、感情と理性、意識と無意識に分けるというようなあらゆる形の二元論に反対します。」(P.25)

 

「アドラーは人間の悩みはすべて対人関係の悩みである、といっています。人は一人で生きているのではなく、<人の間>に生きています。」(P.44)

 

「また罰の効果は一時的であり、罰する人がいなければ不適切な行動をするでしょう。不敵越な行動はしないまでも、積極的に適切な行動をしなくなることもあります。」(P.59)

 

「ジッハーは全体としての人が進む道筋を『進化』という言葉を使って表現しています。進化をめざして人は『前』へ進むのであって『上』へと進むわけはないのです。」(P.92)

 

「アドラーは、すでに見たように、人は誰もが等しく同じことを経験したり、客観的な世界に生きているわけではなく、自分自身の興味、関心に従って世界を意味づけ、そのようにして世界を知るというふうに考えています。」(P.101)

 

「自己受容、他者信頼、他者貢献はどれ一つ欠くことができません。」(P.110)

 

「『大切にしなければならないことは、ただ生きることではなくて、善く生きるということなのだ(プラトン)』。この『善く』がこの対話篇では、すでに結論済みのこととして、『美しく』あるいは『正しく』を意味する・・・」(P.125)

 

「勉強をしようとしない子どもにあなたはやればできるのに、といったら決して勉強をしないというのと同じケースであるわけです。そのような子どもたちは、やればできるという可能性を残しておきたいのであって、実際に勉強してできないという現実に直面することを恐れるのです。」(P.153)

 

「問題は自分の意図を理解してもらえなかった場合にこのようなコミュニケーションは多くは最後は攻撃的になって主張を通そうとするか、主張は引っ込めるけれども復讐的になって終わることが多いことです。」(P.166)

 

「さらにいえば、そもそも相手を理解することは不可能である、とアドラーは考えているのです。だからこそ言葉を使うコミュニケーションが重要であることを強調するのです。わからないと思って付き合うほうが、人はわかり合えるものだと思って付き合うよりはるかに安全でしょう。」(P.169)

 

「どんなことが起こっても何とかしようと思いたいのです。これは楽天主義ではありません。楽天主義は、何が起こっても大丈夫、何が起こっても悪いことは起こらない、失敗するはずがない、と思うことです。・・・そうではなくて、楽観主義は現実を見据えるのです。現実をありのままに見て、そこから出発します。」(P.176)