「イノセント・デイズ」, 早見和真

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は・・・筆舌に尽くせぬ孤独を書き抜いた慟哭の長編ミステリー。

 

【印象的な表現や文章】 

「私に言えることがあるとすれば、たった一人からでも大きな愛を受けていれば、子どもは道を踏み外さないということだ。本当に愛し続けられるのか、その覚悟が君にあるのか。大切なのは自信じゃない。覚悟なんだと私は思う。」(P.57)

 

「人間というのはなかなか複雑な生き物でな。思っていることをなんでも口にできるというわけじゃない。・・・だからお前はその誰かさんと真摯に向き合い、何を求めているのか想像してあげなければいかないんだ。」(P.282)