「少女」, 湊かなえ

 

親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児病棟へボランティアに行く---死の瞬間に立ち会うために、高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。

 

【印象的な表現や文章】 

「自殺ほどつまらない死に方はない。想像力が乏しいくせに、自分では知性があると思っている人が、自殺を選ぶ。自分が想像する世界だけがすべてだと思い込み、それに絶望して死を選ぶなど、なんて短絡的なのだろう」(P.57)

 

「自分は不器用だという人の大半は、気が利かないだけなんだって。」(P.81)