「ハゲタカ」, 真山仁

「ハゲタカ(上)」

 

ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、瀕死状態の企業を次々と買収する。敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、鷲津は斬新な再生プランを披露し、業績を上げていく。企業買収、再生の真実を克明に描いた問題作。

 

【印象的な表現や文章】 

「つまり、客をホッとさせる態勢がまるで出来てないのよ。」(P.154)

 

「人は追い詰められてこそ頑張れるものだ。」(P.204)

 

「会社員に求められるのは、定められたルールの中での適合力。長い物には巻かれよ、一時の義侠心や変な正義感を振りかざせば、それは一生のツケとなって戻ってくる---。」(P.222)

 

「財務と人的リストラだけでは企業は再生しない。」(P.451)

 

「人間は嫉妬の動物よ。」(P.452)

 

「これだけは胆に銘じておけ。ビジネスで失敗する最大の原因は、人だ。味方には、その人がこの闘いの主役だと思わせ、敵には、こんな相手と闘って自分は何て不幸なんだと思わせることだ。」(P.453)  

 

 

 

「ハゲタカ(下)」

 

企業再生が軌道に乗りはじめた頃、鷲津政彦は元銀行員・芝野健夫、老舗ホテルオーナーの娘・松平貴子と偶然出会う。二人と接触を重ねるたびに、鷲津の過去が明らかになっていく。そこに潜むある事件とは? そしてニューヨークから日本に戻った鷲津の真意が判明した瞬間、驚愕のクライマックスが訪れる!

 

【印象的な表現や文章】 

「満足ではなく、感動をお届けするサービス。」(P.31)

 

「たとえ狂犬に咬まれても、必要以上に騒ぎ立てると逆に非難される。しかし、そこで謙虚さを垣間見せると、同情を買うことができるものです。」(P.54)

 

「だって古今東西、全ての文明は頂点を極めた瞬間から破滅への坂道を転がり落ちたわけだから。」(P.314)

 

「しかし、闘いにはルールがある。私は、そのルールと破ったことはない。たとえば、私は嘘はつかない。しかし、相手が約束を破ったときは容赦しない。」(P.379)