「赤めだか」, 立川談春

 

17歳で天才・立川談志に入門。「上の者が白いと云えば黒いもんでも白い」世界での前座修業が始まる。三日遅れの弟弟子は半年で廃業。なぜか築地市場で修業を命じられ、一門の新年会では兄弟子たちがトランプ博打を開帳し、談志のお供でハワイに行けばオネーサンに追いかけられる。様々なドタバタ、試練を乗り越え、談春は仲間とともに二ツ目昇進を目指す! 笑って泣いて胸に沁みる、破天荒な名エッセイ、待望の文庫化!「今、最もチケットの取れない落語家」の異名を持つ立川談春のオリジンがここに!

 

【印象的な表現や文章】 

「人間って極限まで追い詰められたら他人のせいにしてでも云い訳しちゃうもんなんだ。」(P.20)

 

「伝統とは持続するために様々な洗練された知恵を生み出すものである。」(P.35)

 

「よくゲイは盗むものだと云うがあれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。」(P.71)

 

「あのなぁ、師匠なんてものは、褒めてやるぐらいしか弟子にしてやれることはないのかもしれん・・・。」(P.76)

 

「何の確約もない言葉でも、人間はすがりつく時がある。すがりつかないと前に進めないことがある。それを、自分は決断したなどと美化した上で、現実をみつめることもなく、逃げ道まできちんと用意してしまう弱さがある。」(P.87)

 

「・・・損得だけで付き合うには男子はあまりにも毀誉褒貶が激しすぎる。離れて忘れた方が身のためと、実は誰もが一度は考える悪女のような人だが、それでも忘れきれない、思いきれない魅力がある。」(P.134)

 

「博打の才能とは儲けたかではなく、いくら変えたかだと談春は思っている。」(P.221)