「終末のフール」, 伊坂 幸太郎

 

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして週末を前にした人間にとっての幸福とは? 今日を生きることの意味を知る物語。

 

【印象的な表現や文章】 

「優しいのと、小心なのとは、紙一重だよ」(P.18)

 

「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」(P.220)

 

「つらい真実って、本人に教えてあげるのと黙っているのと、どっちが正解だと思います?」(P.304)

 

「土屋さんなら何て答えます? どうして死んだらいけないんだ、って言われたら」(P.336)

 

「生き残るっていうのはさ、あんな風に理路整然とさ、「選ぶ」とか「選ばれる条件」とか、そういうんじゃなくて、もっと必死なもののような気がするんだ」(P.365)