「インテリジェンスの原点」, 五木寛之

 

 【印象的な表現や文章】

「『絆』という言葉は、辞書を引くと、家畜とか動物とかが勝手に逃げていかないように縄で縛っておくもの、というのがもともとの意味なんですね。」(P.43)

 

「人というのは、常にそうなんだと思います。平和なら平和で、静かなら静かで、なんかあるんじゃないだろうかと不安になる。だから、あえて不安なんてことは言わなくてもいいんじゃないかなと、僕は思うんですよ。不安は、誰でもあるに決まってますから。むしろ不安のない人って、困りますよね。『自分にはまったく不安がない』と言われると、バカじゃないの?って思ってしまう。」(P.71)

 

「言葉というものは信用できない。正しいとか、正しくないとかの判断は、最終的にはモノに落とすしかない。僕の場合は、その落としどころが『脳』だった。人間の感情や心の動きは『脳』の問題。すべては『脳』の中で起こっている。」(P.75)

 

「哀しいときに、さらに悲しい歌を聴いて、どん底まで行くと、今度は逆のバネが利くんですね。生半可な悲しみでは、そのバネが利かないんで、徹底的にどん底まで落ちることによってバウンドができる。」(P.89)