「真昼の悪魔」, 遠藤周作

 

患者の謎の失踪、寝たきり老人への劇薬入り点滴・・・大学生・難波が入院した関東女子医大附属病院では、奇怪な事件が続発した。その背後には、無邪気な微笑の裏で陰湿な悪を執拗に求める女医の黒い影があった。めだたぬ埃のようにそっと忍び込んだ<悪魔>に憑かれ、どんな悪を犯しても痛みを覚えぬ白けた虚ろな心をもつ美貌の女---その内面の神秘を探る推理長編小説。

 

【印象的な表現や文章】 

「ええ。人間と馴れることで鈍感になるようにうまくできているのかしら・・・他人の死や苦痛を見るのは楽しいもんじゃないけれど、でも次第に無感覚になっていきますもの」(P.53)