「最後のトリック」, 深水黎一郎

 

「読者が犯人」というミステリー界最後の不可能トリックのアイディアを、二億円で買ってほしい---スランプ中の作家のもとに、香坂誠一なる人物から届いた謎の手紙。不信感を拭えない作家に男は、これは「命と引き換えにしても惜しくない」ほどのものなのだと切々と訴えるのだが・・・ラストに驚愕必至!この本を閉じたとき、読者のあなたは必ず「犯人は自分だ」と思うはず!?

 

【印象的な表現や文章】

「裏切る人間は、裏切られる人間よりもはるかに貴族的で、高等な種に属するもののように思われました。裏切り。その言葉は何と甘美で、魅力的な響きに満ちていることでしょう。」(p.150)

 

「この閏年というやつ、実は一筋縄では行かず、100で割り切れる年は例外的に平年となり、ただし100と400の両方で割り切れる年は例外のまた例外で閏年となる(したがって西暦2000年は閏年だったわけだが、2100年は閏年ではない)・・・」(p.168)