「無趣味のすすめ」, 村上龍

 

コツや秘訣を覚えても無意味だ。何かを得ることができる失敗は飢えから始まる。果てしない思考の延長上にアイデアはある。もっともやっかいで、難しく、面倒な選択肢が正解である---。置き去りにされたような孤立感を抱えながらも、淘汰の時代を生き抜くために大切な真のスタートラインを提示する。単行本未収録作品を多数含む、61の戯言!

 

【印象的な表現や文章】 

「ビジネスパートナーの候補者が見つかったときは、しばらくの間『お互いを見つめて』信頼を醸成しなければいけないし、契約したあと共に働き始めるときには『未来を見つめて』ビジョンと目標を共有しなければならない。」(P.17)

 

「・・・個的な目標を見出すことができた個人が、組織・集団の枠を出て、クールに科学的努力を継続させて成功者となるという構図が露わになった。」(P.30)

 

「だが、わたしはリーダーの『資質』などどうでもいいと思う。どんなに優れた資質があっても、『何をすればいいのかわからない』リーダーは組織を危うくする。リーダーは、『どこに問題があるのか』『何をすればいいのか』わかっている人でなければならない。」(P.54)

 

「モチベーションという概念は希望につながっていなければならない。その仕事をやり抜くことで、自分にとって、また家族や同僚や会社にとってより良いい未来が開ける、そういった確信が無ければモチベーションは生まれようがない。だから、ある仕事において、自分や同僚や部下のモチベーションを上げ、維持するコツみたいなものがあるわけがない。その仕事やプロジェクトに対し、積極的に意義を見出し、そのことを密なコミュニケーションで正確に伝え、そこに希望が生まれなければ、モチベーションという言葉はただの呪文に堕してしまう。」(P.69)