「フェルマーの最終定理」, サイモン シン

17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここには記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが---。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション!

 

【印象的な表現や文章】
「画家や詩人の作るパターンが美しいように、数学者の作るパターンも美しくなければならない。色や言葉と同様に、数学の概念は調和してなければならない。美こそは第一の試金石である。醜い数学に永住の地はない。」(P.273)

 

「大事なのは、どれだけ考え抜けるかです。考えをはっきりさせようと紙に書く人もいますが、それは必ずしも必要ではありません。とくに、袋小路に入り込んでしまったり、未解決の問題にぶつかったりしたときには、定石になったような考え方は何の役にも立たないのです。新しいアイディアにたどりつくためには、長時間とてつもない集中力で問題に向かわなければならない。その問題以外のことを考えてはいけない。ただそれだけを考えるのです。それから集中を解く。すると、ふっとリラックスした瞬間が訪れます。そのとき潜在意識が働いて、新しい洞察が得られるのです。」(P.323)

 

「ねえ、ぼくに欠けているものがわかる? あなただけに打ち明けるよ。ぼくに欠けいてるものは、ぼくが愛することのできる、心から愛することのできる人間なんだ」(P.343)