「69」, 村上龍

 

1969年。安田講堂事件が起き、東大は入試中止。アポロが月に行き、ビートルズが「アビーロードー」を、ローリング・ストーンズは「ホンキー・トンク・ウイメン」をリリースした。ベトナム反戦運動が高まり、基地の町・佐世保で、僕は高校をバリケード封鎖した---。明るく楽しく生きる青春のエネルギーに満ちた日々を描いた永遠の古典。

 

【印象的な表現や文章】 

「不幸は、自分が知らない間に、知らない場所で、勝手に育っていって、ある日突然、目の前に現れるという、重要な事実に、である。幸福は、逆だ。幸福は、ベランダにある小さなかわいらしい花の苗だ。あるいは番のカナリアのひなだ。目に見えて、少しずつ成長する。」(P.111)

 

「泣いたらおしまいだ。自分より強い奴に、涙を見せたら、それで終わりだ。自分の気持ちとは無関係に、それは哀願になってしまう。」(P.162)

 

「暗い人間は他人からエネルギーを吸いとって生きるから始末が悪い。」(P.196)

 

 

「楽しんで生きないのは、罪なことだ。わたしは、高校時代にわたしを傷つけた教師のことを今でも忘れていない。」(P.242)