「裸でも生きる」, 山口 絵理子

 

「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのにやりたいことをやらないんだ?」バングラデシュで見てきた現実の中で自分の人生に最も影響を与えたのは明日に向かって必死に生きる人たちの姿だった。ただただ生きるために生きていた。そんな姿を毎日見ていたらバングラデシュの人が自分に問いかけているような気がした。他人にどう言われようが、どう評価されようが、たとえ裸になてでも自分が信じた道を行く。それがバングラデシュのみんなが教えてくれたことに対する私なりの答えだった。

 

【印象的な表現や文章】
「・・・ここで帰ったら私は、このまま何もかも達成できない自分になっちゃう。下り坂を転げるように私は失敗だらけの人生になっちゃうんだ!」(p.48)

 

「コンプレックスがあった英語だったけれど、自分をこういう環境に置いたことで、下手さを気にしている場合じゃなく、やるべき業務を終わらせることが先決だと割り切れるようになった。」(p.59)

 

「人はだれでも使命がある。こんな私にだって使命があるはず。」(p.89)

 

「だれだって人を裏切りたくて、裏切るわけじゃない。裏切ることが必要な社会が人間をそうさせる。貧しさが人間の理性を奪い、人を傷つける大きな武器になるんだ。」(p.250)