「蕎麦ときしめん」, 清水 義範
【内容紹介(裏表紙より)】
読者はパスティーシュという言葉を知っているか?これはフランス語で模倣作品という意味である。じつは作者清水義範はこの言葉を知らなかった。知らずにパスティーシュしてしまったのだ。鬼才野坂昭如をして「とんでもない小説」と言わせしめた、とんでもないパスティーシュ作品の数々、じっくりと楽しみを。
【印象的な表現や文章】
「考えてみれば、紳士的態度というものは社会の中で個人が円滑に生活していくために必要なものである。自分と他人との間に、無用の軋轢を生じさせないための生活技術が、礼儀というものであり、紳士的態度である。」(p.29)
「美、というものには確かな基準がない。そのため、彼女を醜女だと決めつけることは誰にもできない。」(p.52)
「ただ、今の人間の欲望が食いものに集中していることは否定できん。企業とは人間の欲望にそっていかなければいかん」(p.58)
「個人の手におえぬ一つの仕事が、組織、というものによって達成できるこの玄妙さはどうであろう」(p.134)
「サラリーマンをやってた時には、もっと非常識な電話だって会社のためにかけたことがあるじゃないか。たとえば発注の取り消しとか、一晩でやり直してこいとか。会社のためにできたことを、自分を守るためにできないでどうする。」(p.204)
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