「悪女について」, 有吉佐和子

 

<<自殺か、他殺株式会社、虚飾の女王、謎の死>>---醜聞にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮かび上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった、男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。

 

【印象的な表現や文章】

「僕は結局こう思うんですよ。僕が凡庸な男なのだから、この生活でいいのだと。」(p.244)

 

「僕は、大学卒業する頃、ようやく気がついたのですが、童話というのは大人のための読み物じゃないでしょうか。現実生活の厳しさに喘いでいる大人が、お伽噺で夢を取りもどすために。」(p.423)

 

「人は大切よ、婦長さん。いい人を集めなければいい仕事は出来ないわ。」(p.486)