「自分の中に毒を持て」, 岡本太郎

 

みんなどうしても、安全な道の方を採りたがるものだけれど、それがだめなんだ。人間、自分を大切にして安全を望むんだったら、何も出来なくなってしまう。計算づくでない人生を体験することだ。---(中略)--- ぼくは、ほんとうに自分を貫くために、人に好かれない絵を描き、発言し続けてきた。一度でいいから思い切って、ぼくと同じにだめになる方、マイナスの方の道を選ぼう、と決意してみるといい。そうすれば、必ず自分自身がワァーッともり上がってくるにちがいない。それが生きるパッションなんだ。

 

【印象的な表現や文章】 

「人間にとって成功とはいったい何だろう。結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。」(P.27)

 

「ぼくはつくづくと思うのだが、好奇心というのは、そのように生命を賭けて挑む行動に裏打ちされなければ、生きる感動としてひらかないのではないか。」(P.42)

 

「"いずれ"なんていうヤツに限って、現在の自分に責任をもっていないからだ。生きるというのは、瞬間瞬間に情熱をほとばしらせて、現在に充実することだ。」(P.52)

 

「自信なんていうのは相対的価値観だ。誰々よりも自分は上だ、とかいうものでしかない。そうじゃなくて、人間は生死を越えた絶対観によって生きなければだめだ。」(P.57)

 

「芸術はきれであってはいけない。うまくあってはいけない。心地よくあってはいけない。それが根本原則だ、と。」(P.176)

 

「商社などから派遣されている人は優秀なエリートなのだろうが、どうもシステムだけに忠実で、人間本来の魅力には欠けるようだ。」(P.186)

 

「・・・そうだ。おれは神聖な火炎を大事にして、まもろうとしている。大事にするから、弱くなってしまうのだ。己自身と闘え。自分自身を突き飛ばせばいいのだ。炎はその瞬間に燃えあがり、あとは無。---爆発するんだ。」(P.194)