「友情」, 武者小路実篤

 

二十三歳にしてまだ女を知らない野島は、女を見るとすぐに結婚を連想してしまう。美しい杉子に出会って以来、片想いの熱にうかされる妄想の日々。親友の大宮に抱え切れない熱い想いを打ち明けるが、事態は思わぬ方向に進み始め・・・。全身全霊で恋焦がれても、親友が応援してくれても相手の気持ちだけはいかんともしがたいのが恋という難物。四百万人が感動した不朽の大失恋小説。

 

【印象的な表現や文章】 

「人間はつくられた通りに心を動かすものだ。」(P.42)

 

「・・・もし無限だとか、不滅だとか、美だとか、永遠なものに合致するよろこびを少しも求めないなら蛆虫です。」(P.73)