「6時間後に君は死ぬ」, 高野和明

 

6時間後の死を予言された美緒。他人の未来が見えるという青年・圭史の言葉は真実なのか。美緒は半信半疑のまま、殺人者を探し出そうとするが---刻一刻と迫る運命の瞬間。血も凍るサスペンスから心温まるファンタジーまで、稀代のストーリーテラーが卓抜したアイディアで描き出す、珠玉の連作ミステリー。

 

【印象的な表現や文章】 

「社会を知るということは、社会が隠し持つ残酷さを理解するということだったのだ。」(P.90)

 

「人の一生には、その時々に応じて、我慢できるぎりぎりの苦難がやって来るものなのだろうか。」(P.130)

 

「人は生まれながらにして目に見えない力に支配され、その道筋に沿って生きることしかできないのか。おそらくその推論は正しいのだろう。人の未来が定まっていない限り、予知という能力は存在し得ない。もしも未来が可変なら、すべての予言は実現があやふやな妄言となり、予知能力者は虚言癖のある人間と変わらなくなってしまう。運命という名の決定論と予言者の存在は、不可分の関係にあるのだ。」(P.300)